おうちで回復ケア

回復期における自分にとって大切なこと:価値観を見つけ、行動につなげる自宅での実践法

Tags: 回復期, セルフケア, 価値観, 目標設定, 自宅実践

回復期にある方にとって、心の安定を取り戻すことと並行して、今後の生活において何に重きを置き、どのような方向へ進んでいきたいかを考えることは、回復への意欲を高め、持続的な well-being(精神的、身体的、社会的に良好な状態)に繋がる大切な要素です。この過程において、「価値観」に焦点を当てることは、自分らしい回復の道のりを見つける手助けとなります。

この記事では、回復期における価値観の重要性とその見つけ方、そして見出した価値観を日々の行動にどのように繋げていくかについて、自宅で実践できる具体的な方法をご紹介します。

回復期における価値観の重要性

価値観とは、私たちが人生において大切にしていること、意味や目的を感じる基準となるものです。例えば、「他者への貢献」「学び」「創造性」「健康」「人間関係」など、人によって様々です。

回復期においては、病気や困難な経験を通して、これまで当たり前だと思っていた価値観が揺らいだり、見えにくくなったりすることがあります。また、活動範囲が制限される中で、何のために時間を使い、どのようなことにエネルギーを費やしたいのか、迷いが生じることもあるかもしれません。

このような時期に改めて自分の価値観を見つめ直すことは、以下のような点で重要と考えられています。

心理療法の分野、特にアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)などでは、価値観の明確化が心理的な柔軟性を高め、困難な感情や思考に囚われず、価値ある行動を取る上で中心的な要素と位置付けられています。

自宅でできる価値観を見つける・再確認する方法

自分の価値観を見つけたり、再確認したりするために、特別な準備や場所は必要ありません。自宅で、落ち着いて自分自身と向き合う時間を持つことから始められます。いくつかの方法をご紹介します。

1. 価値観リストの活用

インターネットなどで検索すると、「価値観リスト」と呼ばれる、様々な価値観の候補が一覧になったものを見つけることができます。

2. 過去の経験の振り返り

これまでの人生で、喜びや充実感を感じた経験、逆に後悔や不満を感じた経験を振り返ることも、隠れた価値観に気づく手助けになります。

3. 理想の自分を想像する

もし制限がないとしたら、どのような自分でありたいか、どのような生活を送りたいかを想像することも有効です。

これらの方法を通して見出した価値観は、現時点でのものです。価値観は変化していく可能性もあるため、定期的に見直す機会を持つこともお勧めします。

見出した価値観を行動につなげるステップ

価値観は、単に見つけるだけでなく、それを日々の行動に反映させてこそ意味を持ちます。見出した価値観に基づいて、具体的な行動計画を立ててみましょう。

1. 価値観を具体的な行動に落とし込む

見つけた価値観が、日常生活でどのように現れるかを考えます。

2. 小さな目標を設定する(スモールステップ)

いきなり大きな目標を立てるのではなく、無理なく始められる小さな行動目標を設定します。回復期においては、エネルギーレベルや体調が変動しやすいことを考慮し、達成しやすい目標を選ぶことが大切です。

3. 行動を記録する

目標とした行動を実行したら、カレンダーに印をつけたり、簡単な記録をつけたりします。

4. 振り返りと調整

週の終わりなどに、計画通りに行動できたか、難しかった点は何かを振り返ります。

このプロセスを繰り返すことで、徐々に価値観に沿った行動を生活に取り入れ、定着させていくことが期待できます。

実践上のポイントと注意点

まとめ

回復期において、自分自身の価値観を見つめ直し、それに基づいた行動を生活に取り入れることは、回復への道のりをより自分らしく、意味のあるものにするための大切なセルフケアの一つです。

今回ご紹介した価値観リストの活用、過去の経験の振り返り、理想の自分の想像といった方法は、特別な道具を使わず、自宅で手軽に取り組むことができます。また、見出した価値観を具体的な小さな行動に落とし込み、計画・実行・振り返りを行うことで、無理なく生活への定着を目指せます。

ご自身のペースで、できることから少しずつ取り組んでみてください。この実践が、あなたの回復をサポートし、より充実した日々に繋がる一助となれば幸いです。